がん病態栄養専門管理栄養士とは?がん患者と家族を「食」でサポート!

がん病態栄養専門管理栄養士とは
がんの治療は積極的な栄養介入が求められる領域です。
チーム医療の一員として、多職種と連携しながら患者さんの栄養管理をする行うことができる管理栄養士が求められています。
がん病態栄養専門管理栄養士の認定は、病態栄養認定管理栄養士よりもさらに専門性が高く、がん治療に特化した知識や技術を身に付けて医療現場で活躍するための認定です。
この記事では、がん病態栄養専門管理栄養士の仕事の概要や申請方法、認定試験、やりがい、参考になるテキストについて解説します。

がん病態栄養専門管理栄養士とは

国立がん研究センターによると、日本では生涯のうち2人に1人ががんを経験すると推計されており、現在もがんは日本人の死亡原因の上位を占めています。
がんの治療において、病態に応じた適切な栄養管理を行うことで、治癒力の向上が期待できるため、がんに特化した知識を持つ管理栄養士の存在が求められています。
そこで、平成26年度にスタートしたのが「がん病態栄養専門管理栄養士Certified Specialist of Registered Dietitian for Cancers(CSRDC)」の認定制度です。 日本病態栄養学会と日本栄養士会の共同で認定が行われ、令和8年4月現在、がん病態栄養専門管理栄養士の認定者数は1,344人となっています。
がん病態栄養専門管理栄養士は、がん患者さんの栄養管理・食事療法に関する高度な知識と技術を備え、がん治療専門の管理栄養士として、チーム医療への連携を強化することを目的としています。

どんなひとを対象にするのか

がん病態栄養専門管理栄養士が対象にするのは、がん治療を受けられている方と、闘病を支えるご家族になります。
入院中の栄養管理や食事指導はもちろんのこと、退院後の食事についても、栄養相談・指導を行い、患者さん本人とその家族をサポートします。

どんな仕事をするのか

入院中のがん患者への食事提供と栄養管理、および栄養相談がおもな仕事です。
がん患者は疾病による栄養障害に加え、治療の副作用や精神的ストレスなどによって、食欲が落ちやすく、栄養状態の悪化が頻発します。そのため、より積極的な栄養介入が求められます。
対象患者の栄養状態を把握するために、医師、看護師などの医療スタッフとカンファレンスで相談をしたり、患者本人と家族へのヒアリングを行ったりして、食べられない原因を探り、それぞれの病状に応じた栄養補給を行います。
また、栄養相談では、患者さんからの不安や疑問をできる限り解消する手助けをしながら、継続して食事療法を行えるよう、食を通じて治療期間を支えます。

がん病態栄養専門管理栄養士の一日の流れ

勤務先によって異なりますが、病院で働く場合の一例を紹介します。

時間

主な業務

8:30

出勤・患者情報の確認

9:00

病棟回診・栄養アセスメント

10:30

医師や看護師とのカンファレンス

12:00

食事提供状況の確認

13:00

栄養相談・食事指導

15:00

NST回診・症例検討

16:30

記録作成・多職種連携

17:30

退勤

治療中の副作用による食欲低下や体重減少への対応など、患者さんごとに異なる課題に向き合いながら栄養サポートを行います。

どこで、だれと一緒に働くのか

がん病態栄養専門管理栄養士は、がん治療を行う病院内で、栄養サポートチーム(NST)の一員として働くのが一般的です。
栄養サポートチーム(NST)は、医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、歯科医師、歯科衛生士、臨床検査技師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、言語聴覚士などの専門職によって構成され、それぞれの専門性を生かしながら、連携して、がん患者の治療にあたります。
栄養サポートチーム(NST)専門療法士とは?取得方法からメリットも解説

給与と待遇について

病院の管理栄養士の求人(月給20万円~25万円程度)に応募する際に資格を持っていると、がん病態栄養の専門知識を持つことの証明になるので、施設によっては給与が上乗せされたり、採用で有利になるところもあります。

がん病態栄養専門管理栄養士の将来性

日本では高齢化の進行に伴い、がん患者数の増加が見込まれています。また、医療技術の進歩によって治療後も長く生活する「がんサバイバー」が増えており、治療中だけでなく退院後の栄養支援の重要性も高まっています。
がん患者の栄養状態は治療効果やQOL(生活の質)に大きく影響するため、がん診療連携拠点病院や急性期病院を中心に、専門的な知識を持つ管理栄養士への需要は今後も続くと考えられます。
専門資格を取得することで、NST(栄養サポートチーム)や緩和ケアチームの一員として活躍できる機会が広がるでしょう。

がん病態栄養専門管理栄養士の認定について

がん病態栄養専門管理栄養士になるには、下記の条件を全て満たす必要があります。

申請するための条件

がん病態栄養専門管理栄養士の認定を受けるためには、以下の要件を満たす必要があります。
  • 管理栄養士免許を取得していること
  • 日本病態栄養学会および日本栄養士会の会員であること
  • 両団体の年会費を完納していること
  • 「病態栄養専門管理栄養士」「病態栄養認定管理栄養士」または「臨床栄養認定管理栄養士」のいずれかを取得していること
  • 学会が定める実地修練・実務経験要件を満たしていること
  • がん患者の栄養管理に関する症例実績を提出できること
  • がん領域の認定単位を30単位以上取得していること

引用元:日本病態栄養学会「がん病態栄養専門管理栄養士

実地修練・症例要件

認定申請には、学会認定施設での実地修練や一定時間以上のがん栄養管理の実務経験が求められます。また、がん患者の栄養管理に関する症例報告が必要であり、呼吸器がん、消化管がん、肝胆膵がん、乳がん・婦人科がんなど複数領域の症例経験に加え、緩和ケアや在宅医療に関連する症例も含まれます。

がん病態栄養専門管理栄養士の試験について

認定取得には、必要書類の審査に加えて認定試験への合格が必要です。近年はオンライン形式で試験が実施されており、症例管理やがん栄養療法、支持療法、緩和ケア、多職種連携など幅広い知識が問われます。

がん病態栄養専門管理栄養士の取得難易度

がん病態栄養専門管理栄養士は、管理栄養士向け資格の中でも専門性の高い資格の一つです。
認定を受けるためには、実務経験に加えて実地修練や症例報告、認定単位の取得など複数の要件を満たす必要があります。また、認定試験ではがん栄養療法や副作用対策、緩和ケア、多職種連携に関する知識も求められます。
そのため、病院で一定期間の実務経験を積みながら計画的に準備を進めることが大切です。

がん病態栄養専門管理栄養士に向いている人

がん病態栄養専門管理栄養士は、患者さんやご家族と長期的に関わりながら栄養支援を行う仕事です。そのため、次のような方に向いています。
  • 病院で働く管理栄養士として専門性を高めたい人
  • NST活動やチーム医療に興味がある人
  • がん領域の栄養管理を深く学びたい人
  • 患者さんやご家族の精神的なサポートにも関わりたい人
  • 臨床現場でキャリアアップを目指したい人
高度ながん栄養管理では、知識や技術だけでなく、患者さん一人ひとりの生活背景や価値観に寄り添う姿勢も求められます。

がん病態栄養専門管理栄養士のメリット・やりがい

がん病態栄養専門管理栄養士の認定を得ることで、がんの臨床栄養分野において、より卓越した技術と知識を修得した専門性の高い管理栄養士として認められます。
また、がんに特化した管理栄養士の資格は、今までになかったので、資格保有者の今後の活躍には大きな期待が寄せられており、管理栄養士としてのキャリアアップにも役立ちます。
がん治療の専門知識を持つ管理栄養士となり、がんと闘う患者本人やご家族に寄り添い、食べられない苦しみを取り除くことで、栄養状態の低下を改善し、治療効果を上げて回復をサポートできる仕事は、大きなやりがいとなるでしょう。

がん病態栄養専門管理栄養士に関するよくある質問

Q. 病院以外でも活躍できますか?

主な活躍の場は病院ですが、在宅医療や緩和ケア、研究活動、教育分野などで専門知識を活かすことも可能です。

Q. 資格がないとがん患者の栄養指導はできませんか?

管理栄養士であれば栄養指導は行えます。ただし、資格取得によって高度ながん栄養管理に関する知識や経験を客観的に証明できます。

Q. NST活動に参加したい場合は取得した方がよいですか?

必須ではありませんが、NSTで中心的な役割を担いたい方や専門性を高めたい方には有用な資格といえるでしょう。

まとめ

病院で働く管理栄養士として、がん治療に特化した知識や技術を身に付けたい方や、キャリアアップを目指す方は、がん病態栄養専門管理栄養士の資格取得を検討してみてはいかがでしょうか。
●病院・クリニックでの働き方などは以下の記事もぜひ参考に!

参考・文献サイト

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