被災地で栄養士が必要とされている!災害支援チームJDA-DATとは?

2011年に発生した東日本大震災、近年でいえば2016年に発生した熊本地震など、日本は地震や台風、火山噴火などの自然災害が発生しやすい国土です。
そのため、学校や企業、自治体、地域団体などでは多くの防災訓練が行われ、各家庭でも備蓄をすることは当たり前となっています。 最近では、保存食を日常で消費しながら備蓄をする「ローリングストック」という備蓄法も耳にした方もいるかもしれません。 2018年3月には、ヤフー株式会社による「全国統一防災模試」が行われ、国民の防災に対する意識は年々高まっています。
そんな災害が起きたときに、栄養士のスキルを活かし、食を通じて被災地を支援する活動があることをご存知ですか? それが、日本栄養士会が設立した栄養士のチーム「JDA-DAT」です。
この記事では、JDA-DATの活動の内容から、JDA-DATのメンバーになる方法などを解説します。
JDA-DATとは?
JDA-DATの正式名称は『日本栄養士会災害支援チーム(The Japan Dietetic Association-Disaster Assistance Team)』といいます。
東日本大震災の経験を踏まえ、2012年に日本栄養士会災害支援チーム(JDA-DAT)が発足しました。JDA-DATは、災害時に栄養・食生活支援を通じて被災地支援、平時は防災活動などの支援を行います。
活動目的
国内外の大規模自然災害発生時、迅速に被災地での状況に応じた栄養・食生活支援活動を、医療・福祉・行政栄養部門と協力しながら行うことを目的としています。
そして、その目的を達成するために、JDA-DATは以下の4つを持っている必要があります。
①機動性:発生後、72時間以内に行動する
②広域性:大規模災害に対応できる
③栄養支援トレーニングによる専門的スキル
④自己完結性:食料の調達、移動手段の確保
②広域性:大規模災害に対応できる
③栄養支援トレーニングによる専門的スキル
④自己完結性:食料の調達、移動手段の確保
JDA-DATの活動内容
主な支援活動内容は4つに分けられます。
1. 災害時の迅速な支援
これが基本的な活動です。国や被災地と連携して支援活動を行います。指定栄養士会(※)ごとにJDA-DATは設立されており、自発的あるいは出動要請を受けて活動を開始します。
支援被災地の医療や福祉、行政栄養部門と連携し、情報の収集・伝達・共有化を行います。的確な状況とニーズの把握が支援の前提です。
主な活動支援は以下の通りです。
①緊急栄養補給物資の支援:必要な物資とその量を把握し、手配と分配の指揮
②栄養補給:個人に対して直接栄養補給の支援
③対応の困難な被災者への支援と医療機関への連絡
②栄養補給:個人に対して直接栄養補給の支援
③対応の困難な被災者への支援と医療機関への連絡
※ 指定栄養士会:JDA-DATを保持する意思と人員等を備え、日本栄養士会に申請済みの都道府県栄養士会。指定栄養士会は28道府県栄養士会に拡大しています。
2. 災害時の長期的支援
基本は前述したような災害時の迅速的な活動ですが、災害の規模や状況に応じて長期的に支援を行うこともあります。 その際は日本栄養士会が全国のJDA-DATと被災地の都道府県栄養士会を繋ぎます。
3. 平時の防災活動支援
地域防災の基本的な考え方である「自助」「共助」「公助」がスムーズに行われるように、地域の防災対策活動へ協力します。
4. 専用車を活用した広報活動
JDA-DATの専用車は、キッチンボックスを搭載したキッチンカーです。 災害時は災害支援医療緊急車両として、平時は復興支援プロジェクトをはじめとした広報活動として利用されます。
活動実績
設立のきっかけとなった2011年の東日本大震災をはじめ、様々な場所で活動をしています。その一例を紹介します。
JDA-DATは2012年の発足以来、全国各地で発生した地震や豪雨災害、新型コロナウイルス感染症対応など、さまざまな場面で栄養・食生活支援を行ってきました。近年は避難所での栄養相談だけでなく、特殊栄養食品の供給調整や要配慮者への個別支援、行政や医療・福祉関係者との連携体制の構築など、その活動範囲は大きく広がっています。
・東日本大震災(2011年)
東日本大震災では、避難生活の長期化に伴う栄養不足や生活習慣病の悪化が課題となりました。この経験を教訓として、災害時に専門的な栄養支援を行う組織の必要性が高まり、2012年にJDA-DATが発足しました。
・熊本地震(2016年)
熊本地震では、JDA-DATがDMATやJMATなどの医療支援チームと連携しながら避難所を巡回し、被災者の栄養アセスメントや栄養相談を実施しました。また、糖尿病や食物アレルギーなど特別な配慮が必要な方への支援や、特殊栄養食品の供給調整にも取り組みました。
・新型コロナウイルス感染症対応(2020年以降)
新型コロナウイルス感染症の流行時には、自宅療養者や高齢者施設入所者への栄養支援、自治体との連携による食生活支援などを実施しました。また、災害と感染症が同時に発生する複合災害への対応力強化も進められています。
・令和6年能登半島地震(2024年)
能登半島地震では、発災翌日の2024年1月2日から先遣隊を派遣し、本格的な支援活動を開始しました。避難所や高齢者施設を巡回して栄養状態の確認や相談対応を行ったほか、要配慮者向けの特殊栄養食品の供給支援を実施。さらに「特殊栄養食品ステーション」の設置や、管理栄養士と自治体のニーズをつなぐマッチングシステム(DiMS)の活用など、新たな仕組みを活用した支援も行われました。
能登半島地震においては、2024年7月時点で延べ2,229名の管理栄養士・栄養士等が被災地支援に携わり、JDA-DATの大規模災害対応能力が発揮されました。
・平時の防災・地域支援活動
JDA-DATの活動は災害発生時だけではありません。平時から自治体や医療機関、防災関係機関と連携し、防災訓練や啓発活動、地域住民への防災教育などを実施しています。また、各都道府県栄養士会ではスタッフ養成研修や継続教育を行い、災害時に迅速な対応ができる人材育成を進めています。
全国的な支援体制の拡充
JDA-DATは発足当初から大きく成長し、2024年12月末時点では全国で5,565名のメンバーが登録されています。近年は自治体との災害協定締結も全国で進んでおり、栄養・食生活支援を担う専門職としての役割がますます重要になっています。
JDA-DATのメンバーになる方法
JDA-DAT登録者数は5,565名。 現場ではチーム単位で活動が行われます。1人のリーダーと3~4人のスタッフで1チームです。
JDA-DATのスタッフになる
JDA-DATのスタッフになるためには、各都道府県栄養士会が実施するスタッフ育成研修を受講し、修了する必要があります。
研修では、災害時の栄養支援の基礎知識をはじめ、避難所での栄養アセスメント、要配慮者への支援方法、多職種との連携、コミュニケーション技術、応急対応などを学びます。講義だけでなく、演習や訓練を取り入れた実践的な内容となっており、災害発生時に即戦力として活動できる人材の育成を目的としています。
また、スタッフ登録後も継続的な教育研修や防災訓練が実施されており、最新の災害対応や栄養支援に関する知識・技術を学ぶ機会が設けられています。研修の日程や申込方法は都道府県栄養士会によって異なるため、最新情報は所属する栄養士会または日本栄養士会の公式サイトで確認しましょう。
JDA-DATのリーダーになる
JDA-DATリーダーになるためには、JDA-DATスタッフとして登録後、都道府県栄養士会長の推薦を受けたうえで、日本栄養士会が実施するリーダー育成研修を受講する必要があります。JDA-DATリーダーは、災害発生時に支援活動の指揮や関係機関との調整を担う役割を担います。
リーダー育成研修では、災害時の初動体制の構築や情報収集・分析、避難所における栄養管理、多職種・行政との連携方法などを学びます。また、実際の災害を想定した演習やグループワークを通じて、現場で求められる判断力や調整力を身につけます。近年は「情報を集め、整理し、判断し、動かす」をテーマにした実践的な研修が行われており、被災地で円滑に栄養・食生活支援を推進できる人材の育成が進められています。
なお、リーダー登録後もスキルアップ研修や継続研修への参加が求められます。開催時期や受講条件は年度によって変更されるため、最新の募集情報や研修内容については日本栄養士会の公式サイトで確認しましょう。
問い合わせ先・詳細について
JDA-DATに関する情報・問い合わせは、以下のホームページを確認してください。
災害発生時の支援だけでなく、震災後の被災地での栄養的問題(長引く避難生活による栄養失調、持病悪化=二次災害)も解決していかなくてはなりません。 被災地では、多くの栄養士・管理栄養士が必要とされているのです。
災害なんて起こらないでほしい。 しかし、「いつか」はやってきます。
その「いつか」のため、栄養士・管理栄養士として、備えてみてはいかがでしょうか。
参考文献・サイト
- 公益社団法人 日本栄養士会(2026年8月10日)
- 公益社団法人千葉県栄養士会(2026年8月10日)
- 公益社団法人 日本栄養士会「日本栄養士会災害支援チーム活動マニュアル」(2026年8月10日)
- 平成29年度(第1回)JDA-DATスタッフ研修会日程(2026年8月10日)
